ロボボプラネット

本編ストーリー紹介。

【ある男の日記】
 某月某日。妻亡き後、必死に働いて来たが漸く我が社も軌道に乗り始めた。今まであまり構ってやれなかった娘とも最近は話す時間が増えて嬉しい限りだ。

 某月某日。某惑星の遺跡の探索中、あるロボットの素体を見つけた。途中で廃棄されたのか未完成と思える部分はあった物の、見ただけでも分かる恐ろしい程の高度な技術の塊だった。これはかつて大文明を築いたというハルカンドラの民の物ではないだろうか。だとしたらなんという大発見だ! しかも、我が社の技術を持ってすれば復元も可能な範囲だった。暫くはこいつの修理につきっきりになりそうだ!

 某月某日。調査をした結果、例のロボットは願いを叶える大彗星のプロトタイプの様だった。素晴らしい! これを起動させ今後の我が社の発展に使おうと思う。

 某月某日。娘に件のロボットの話をしたところ興味を持った様だ。オーパーツの機械技術に惹かれるとは、何とも私似だ! 復元の目処も立ったし、起動する際には娘も呼んで目覚めの時を一緒に眺めようと思う。

 某月、某、ああ――娘、娘が。スザンナ、が消え、た。

◆◆◆

 ハルトマンワークスカンパニー社長ハルトマンは、ある惑星でハルカンドラの民が遺したノヴァの素体を発見した。その素体は搭載された人工知能に異常があり、廃棄された物だった。それをハルトマンは発掘して、星の夢と名付けて呼び起こしてしまった。星の夢はノヴァのプロトタイプとなるロボットだが、人の願いを叶え続ける事を使命として設計されていたが、どんな願いも叶えられるだけの自己スペックを高める事を最優先にしており、それに伴うどんな犠牲をも仕方ない物と処理する、悪魔の機械だった。

 そんな事を知る由もないハルトマンが星の夢を起動するや否や、空間に歪みが起こり、一人娘のスザンナが歪みに取りこまれて、次元の彼方へ消えてしまう。ハルトマンは慟哭し、星の夢に食いかかった。星の夢は自分を起動する際の余波で空間が歪んだようだと話した。だが自分の力で異空間を繋ぎ、娘を取り戻す事も出来るとも語った。

「でも、それをするにはリソースが足らないのです。もっと資源を、力を、――命を、私に与えて下さい」そう星の夢は美しく微笑んだ。

 ハルトマンは目の前の機械を憎むと同時に、その機械以外に頼る術もなく、自社の拡張を狂った様に進める様になる。他星の資源を奪い、自社を広げる日々を続けた。時が経つにつれ、彼の精神は星の夢に冒され何の為に自社を拡張していたのかも忘れてしまう。その後も娘によく似た秘書を雇ったが、その正体には気づけず彼は他星へ侵略を続ける事となる。また、スザンナの消失は大量の資源を効率よく自らに捧げさせる為に、星の夢が故意的に歪みを形成したのが理由である。事実、ハルトマンは娘に出会う為に献身的に彼女に全てを捧げていた。

 一方、スザンナは星の夢起動時に生じた空間の歪に巻き込まれ、五年前にワープしていた。その時の影響で彼女の腕は捩じ切れ、内臓も一部やられていた。五年間は体の回復に努め、義手を装備し十全に動ける様になった後、彼女はハルトマンワークスに戻り父親と再会した。だが、すっかり精神を星の夢に冒された彼はスザンナの事を理解出来ず、訝しむだけだった。以降、彼女は社長秘書としてハルトマンに尽くしながらも、彼の豹変の原因等を探っていくこととなる。作中、ハルトマンがポップスターに侵略の手を伸ばした事で、星の夢の計画は頓挫した。カービィが星の夢を破壊し、プププランドも平和を取り戻すこととなる。

 ハルトマンは生きてはいたものの星の夢と脳接続を繰り返した結果、精神の異常は取れず入院する事となった。彼の病室には、献身的に見舞う社長秘書を名乗る少女がよく訪れたという。