あつめて!カービィ

本編紹介。ネクロディアス周辺。

 昔、とある村に将来を誓い合った男女がいた。だが、男は女と結ばれる前に事故で死んでしまう。その男――ディアスという名の男は無念でたまらなかった。愛した女性ともう共に過ごせないのも、彼女を置いて逝った事も、無念で仕方無かった。
 その未練が原因か、男は亡霊となった。ただ、現世に霊魂が留まるというのはとても難しく、当初彼は黒い小さな靄の様な存在に過ぎなかった。しかし、彼は他の無念を持った霊魂や闇の物質を取り込み続け、数十年後に彼はようやく生前とよく似た人の身体を手にした。それが死霊の集合体のダークマター、ネクロディアスの正体であった。

 生前愛していた女性にもう一度会う為に、彼は彼女の霊魂を求め探し歩いて、似てる所を見出してはドクロンとして具現化させて自分の傍に侍らせた。だが、ネクロディアスは他の霊体を大量に取り込んだ所為で、彼自身の記憶が酷く曖昧になってしまい、彼女の名も顔も思い出せなくなってしまっていた。
 その結果、どの様な霊も死体も 「君は彼女と目元が似ている気がする」「君は肌触りが似ている気がするから好きだよ」と見境なく死体に愛を囁いていた。そうして長年霊魂を探し回ったが、彼女と再会する事は叶わなかった彼は、彼女はまだ生きているのかもしれない、と言う結論に至る。

 ――ただ、何処にいるのかも分からない。死霊の身で現世を探すのは大変だ。では生者全てをいっそ死人にしてしまおう。彼女も霊魂になれば、死霊を統べる存在となった自分なら見つけやすいし、何よりも同じ死霊同士として永久に愛し合えるじゃないか!
 そうして彼は星の戦士として既に有名になっていたカービィによる干渉を恐れ、最初にカービィを呪殺しようと試みた。しかし、星の戦士の血による抵抗力により、彼の呪いはカービィの力を十分割させるだけに留まった。だが幼児の様になった星の戦士を見て、これで妨害してくる事はあるまいと彼は満足し、塒のネクロネビュラへと戻った。まずは手始めに、ポポポアイランズを死の土地へと変じさせる準備を始めながら。

 体を分けられたカービィはすっかり弱体化してしまったものの、彼が分割された際に勇者の心と名乗る精神体が現れ、カービィの導き手となった。勇者の心はカービィに統合された星の戦士達の意識の集合体であり、彼らの力もありカービィはネクロネビュラまで辿り着く事に成功する。

 カービィに恋人との逢瀬の計画を邪魔されたネクロディアスは、不機嫌な様子でカービィを出迎えた。自分の邪魔をするならば容赦はしないと彼は死霊術を用いて分割されたカービィ達の命を奪い幾度となく追い詰めるが、幼いながらも勇者の心に目覚めたカービィの一撃によって、彼は二度目の死を迎えることとなる。

 ネクロディアスは恋人に会う事は叶わなかったと思っていたが、実際は既に再会を果たしていた。特に彼が気に入り、珍しい赤い衣を与えたドクロンこそ捜し求めていた彼女だった。死ぬ間際、彼を迎えに来た赤い衣の彼女の姿を見て、全てを思い出した彼は、「……ああ、やっと会えた」と幸福感に浸りながら逝く。


【設定】ミニゲーム:あつめてカービィのミニゲームは本編中でネクロディアスがカービィに対して仕組んだ罠であったり、尖兵を送り込んだという設定。例えばカービィマスターであれば、死霊をとり憑かせたキャラクター達や、死んだキャラクターをネクロマンスしてカービィを襲わせている。
 EOSではナイトメアが登場するが、これはあつめてカービィ本編前にネクロディアスからナイトメアに星の戦士を殺す為に協力しないか、という打診があった為。ナイトメアは引き受け、再度カービィを追い詰めはするもののそれは夢の泉の戦いでの意趣返しに留まる物であり、本気で殺す気は彼女にはもう無かった。戦いの後、彼女はネクロディアスの思惑をカービィに告げ、気を付ける様忠告して根城である夢の泉へと帰っていった。