夢の泉の物語

本編ストーリー紹介。ナイトメアとの邂逅。

 大王が引き起こした食糧強奪事件の後。記憶喪失の少年、カービィは行く場所もないからとプププランドで日々のんびりと過ごし始めた。先日の件の立役者の彼は住民達に歓迎され、問題を起こしたデデデ大王一派も何だかんだ憎めない奴等だと住民達に愛されていた。

 そんな彼らがプププランドにすっかり馴染んだ頃、大王はある噂を聞く。流行病の様に悪夢に悩まされる住民が出始め、眠りから覚めなくなった者もちらほら出ているという話だった。只の噂話だと笑っていた大王だったが、自身もおぞましい悪夢を見た事で認識が変わり調査を始める。だが、彼が元々プププランドに住んでいた者に話を聞くと、悪夢など今まで見た事が無い、いつも見るのは楽しい夢ばかりだったと口を揃えて言った。
 それを訝しんだ大王は腹心のメタナイトと共に文献を漁り、レインボーリゾートにある夢の泉が怪しいと睨んで二人で足を運ぶこととなった。

 大王達が夢の泉に到着すると、一人の美しい少女が彼らを出迎えた。
「――ようこそ、人の子の王よ!」
 そう艶やかに嗤う彼女は、ハルカンドラの民により創られた、夢を管理し統べる魔法生物の成れの果て――ナイトメアだった。彼女は人間を憎んでおり、悪夢を使いプププランドの住民の心を壊そうとしていた。ナイトメアが今回の諸悪の根源と分かった大王とメタナイトは協力し、彼女の力の根源となっていたスターロッドを奪うことに成功する。そのままそれを分割し、信の置ける部下達にそれを預け、実質的な封印と成した。

 そういった処理をしている間に、住民達は皆夢が見られなくなり、同時に大王が夢の泉からスターロッドを抜いた話が広まっていった。カービィの耳にもそれが届き、彼は異変解決の為に諸悪の根源と思われた大王の元へと向かった。道中、大王の信の厚い部下達と矛を交わし、ばらばらになったスターロッドを集めつつ、カービィはメタナイトと邂逅する。
 メタナイトは一目でカービィが最後の星の戦士である事を見抜き、カービィであれば封印ではなく直接ナイトメアを討てるのではないかと考え、彼の力を試す事にした。そうして剣同士での戦いを経て、彼はカービィの実力を認めレインボーリゾートに向かう様告げたのだった。
 夢の泉では大王が待っていた。スターロッドの大部分が既に揃っていた為、現世に多少干渉可能になったナイトメアが大王の精神を操作してカービィと言葉を交わす隙も与えず襲いかからせたが、激闘の末カービィはスターロッドを元に戻し、夢の泉へ返した。正気を取り戻した大王が止める間もなく、ナイトメアは再び顕現し、目的の邪魔となるカービィを殺そうと刃を向けるのだった。
 夜と朝が溶け合う時分まで二人は争い、カービィがその戦いを征した。スターロッドから放たれた星の力が彼女の身体を貫き、ナイトメアは消え夢の泉は元に戻った。これで一件落着だと、皆安堵し明るく笑った。

 だが、ナイトメアは重傷を負った物の生き延びていた。自分に怪我を負わせたカービィに憎悪を募らせつつ、彼女は一旦泉の奥底に身を隠した。いつか殺してやると心に秘めて。


【設定】夢の泉:ハルカンドラの民が作った装置。設置した惑星に住む人間の「負の感情」を夢の中でろ過・発散させる。そうした強い感情を気付かぬ内に持てなくさせ、結果的に設置した惑星の人間は非常に従属に向いた、温厚な平和主義者となる。ナイトメアはその負の感情を長年直に浴び続けた事で変質してしまい、その様にさせた人間を憎んでいる。